Dear.
「お前さぁ、うちのクラスになつき、っていんじゃん。飯沢 夏希(いいざわなつき)」
小林(咲)くんは、呆れ顔で言った。
確かに……。
うちのクラスには、飯沢 夏希くんがいるんだった。
「夏樹ぃ、お前どんだけ名前被ってんだよー」
和泉くんが笑いながら言う。
「うるせー。俺の親に言えよっ」
小林(夏)くんがすねたように言って、和泉くんの足を蹴った。
「いってぇ」
痛がる和泉くんに、カナが言う。
「はいはい、いちゃつくなー。あ、和泉、副班の役割は『班長のサポートを全力でする』、だから。よろしく~」
「は、はぁ!?」
焦る和泉くんに、くすくす笑っていると、小林(咲)くんがわたしの顔を見た。
「どうする? 呼び方」
「あ、うん。じゃあお言葉に甘えて、咲真くん…で」
わたしが少し照れながら言うと、咲真くんが笑って。
「了解」
咲真くん、か…。
男子を名前で呼ぶのは、久しぶりだな…。
ー少し、懐かしくて、涙が出そうになった。