ミラージュ
「じゃあ、あたし先帰るね」
「うん、明日ね!」
「明日朝練来たら、ミスドのお土産分けちゃげるよ」
「期待しちょる」と言い残して、あたしは部室を後にした。
…「暑」
部室を出るとそこには"もやもや"が満ちていて、夕方なのに日射しがきつい。
目を細めながら空を仰ぎ見た後、はっと気付いて駆け出した。
時間はちょうどいいはず。今からあたしは計算高い女になる。
『女』なんて言葉全く似合わないけどそう思い、さっき引き上げたグラウンドに向けて駆け出した。