毛づくろう猫の道しるべ
 希莉も、早速私の事を気に入ってくれて波長が合ったと言わんばかりに、すぐに打ち解けてはおしゃべりに花が咲いた。

 そうしているうちに、自分も度胸がついていく。

 この高校生生活は上手くいく。

 そんな気持ちのいい気分が、心の中ではじけては、今までとは違う自分になっているようだった。

 また、隣の席に誰かがやってきた。

 私達が話している様子を伺いながら、不安そうに席についたので、気持ちが高ぶっていたこともあり、私は調子に乗って、主導権を握るように声をかけた。

「おはよう」

 私が声を掛けたあと、希莉も同じようにその子に向かって挨拶する。

 私が希莉に声を掛けられたときのように、その女の子は多少戸惑っていたが、その後はここで仲良くしなければというチャレンジ精神で元気よい声が返ってきた。

 皆、やっぱり最初は不安でたまらない。

 でも誰かが気遣って声を掛けてくれたら素直に嬉しくて安心感が現れる。

 そのチャンスを蹴る人なんて誰もいないのが、この時の状況だった。

「おはよう。なんだか二人は仲がいいね。同じ中学だったの?」

「ううん、今知り合ったとこ、ねぇ」

 希莉が私に振ってきた。

 私もそれに合わせて「ねぇ」と答えた。

「私は松田柚実。よかったら私も仲良くしてね。よろしく」

 そしてお互い自己紹介すると、私達はすぐに仲良くなった。

 柚実もタイプが希莉に似ていた。
< 10 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop