毛づくろう猫の道しるべ
2
「一体何の用?」
図書室の本棚の前で、本を手に取り佇んでいた近江君に私は声を掛ける。
メモを貰ったから会いに来てやったという、上から目線な態度を向けてしまった。
近江君は落ち着いた様子で顔を上げ、私をまじまじとみてから片方の口角を粋に上げた。
それがとてもふてぶてしかった。
「お前、なんか怒ってるな」
「怒ってないわよ」
「文句あるのなら、はっきり言ったらどうだ。溜め込んじまうと体に悪いぜ」
「そんな事のために私を呼んだの?」
「そんな事? どんな事だよ」
「だったら、なんで私をここへ呼び出したのよ」
「うーんなんでだろうな」
「えっ?」
近江君は手に持っていた本を棚に戻し、暫く考え事をするように動かないまま話しだした。
「だけどさ、俺、お前を呼び出したんだろうか。メモには『昼休み 図書室』としか書かなかったけど」
不思議そうにして再び私に視線を向けた。
「はぁ? そういうメモを机に貼り付けたら、誰だって呼び出しって思うじゃない」
「そうかな。もしかしたら、自分が居る場所を教えただけかもしれない」
「そんなことしてどんな意味があるの?」
「だから、遠山はここに来たんじゃないのか。俺が昼休み図書室にいると思って」
意味がわからなかった。
図書室の本棚の前で、本を手に取り佇んでいた近江君に私は声を掛ける。
メモを貰ったから会いに来てやったという、上から目線な態度を向けてしまった。
近江君は落ち着いた様子で顔を上げ、私をまじまじとみてから片方の口角を粋に上げた。
それがとてもふてぶてしかった。
「お前、なんか怒ってるな」
「怒ってないわよ」
「文句あるのなら、はっきり言ったらどうだ。溜め込んじまうと体に悪いぜ」
「そんな事のために私を呼んだの?」
「そんな事? どんな事だよ」
「だったら、なんで私をここへ呼び出したのよ」
「うーんなんでだろうな」
「えっ?」
近江君は手に持っていた本を棚に戻し、暫く考え事をするように動かないまま話しだした。
「だけどさ、俺、お前を呼び出したんだろうか。メモには『昼休み 図書室』としか書かなかったけど」
不思議そうにして再び私に視線を向けた。
「はぁ? そういうメモを机に貼り付けたら、誰だって呼び出しって思うじゃない」
「そうかな。もしかしたら、自分が居る場所を教えただけかもしれない」
「そんなことしてどんな意味があるの?」
「だから、遠山はここに来たんじゃないのか。俺が昼休み図書室にいると思って」
意味がわからなかった。