毛づくろう猫の道しるべ
「でも、私、そんな、恐れ多くて、信じられなくて、その、えっと、草壁先輩は本当に素敵な人です。そんな人から言われたらやっぱりびっくりして、その、つまり、わ、わかりません」

 その後は、目の前のアイスティを一気に飲み干してしまった。


 あの時、心の底ではやっぱり憧れもあったから、はっきりとは断れなかった。

 だけど自分は草壁先輩の彼女になるだなんて考えられなかったし、まずレベルがあってないと申し訳ない気持ちの方が大きかった。

 いつも会う度に緊張しているというのに、こんなのがずっと続いたら、余計にストレスたまりそう。

 私こそ嫌われたくないという気持ちに縛られて、背伸びをした猫かぶりになってしまう。

 慣れないから、恋の駆け引きやら、付き合う意味がまだピンとこなくて、その後は考えすぎて血迷ってしまった。

 ただ、乙女心を刺激されてぽわーんとしてしまって、その部分はドキドキと快感だった。

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