毛づくろう猫の道しるべ
「いいじゃない、別に。皆思ってることなんだから」

 開き直っていた。

 それをフォローしようと相田さんが気を遣っていた。


「遠山さんだって、根掘り葉掘り聞かれて答えられないよね。小出しでいいからね。ゆっくり教えて」

 結局は情報が欲しいから、今私を怒らせたくないだけで機嫌をとってる態度だった。


 こんな人達に囲まれても全然嬉しくもなんともなかった。

 こんなの友達でもなんでもない。


 私は無性に希莉と柚実が恋しくなって、そっちを見れば、二人はそれぞれの席についていた。


 なんで、私を助けてくれないのだろう。

 どうしてバラバラになっちゃったんだろう。


 チャイムが鳴ったとき、今日の第一幕が終わったような気になった。

 どんなに一幕が終わろうとも、場面はいつも同じ繰り返しで一向に変わろうとしない。


 そこに問題だけは増えて行くというのに。

 外はまた雨が降り出していた。

 部活の場所取りの事がぼんやりと頭に浮かんでいた。



 一時間目が終わるとすぐに私は隣のクラスの加地さんの所へ行った。

 マネージャーを辞めた、いや、辞めさせられたと言った方がしっくり繰るような岡本さんの証言を気にしながら、この日の部活の練習場所を相談した。


 三年生のマネージャー二人は、すでに引退したも同然でアドバイザー的に在籍してる状態。

 櫻井さんもまた一年生の私達に仕事を覚えさせるために身を引いている。

 だから雨の日の場所を、私と加地さんとで場所取りしないといけなかった。

 これは部活のためだからと割り切り、私は普通に接していた。

「今日は雨だね。部活の場所の確保どうしよう」

 すでに櫻井さんから空いている部屋の申請の仕方を教えてもらっていたが、まだ私は入って間もないので、加地さんに確認しないといけなかった。

 本当なら、一人で勝手にしたい。

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