毛づくろう猫の道しるべ
第四章 ぎゅっと抱きしめられた猫

 放課後、雨はしとしとと降り続けたままだった。

 早めの判断をしてよかったと窓の外を見てから、私は部室へ向かった。

 部室に入る時はいつも緊張する。

 中にはすでに数人集まっており、私の姿を見るや「うっす、マネージャー」と気軽に挨拶が飛んできた。


「お疲れさまです」

 無難に返事を返しておく。


「今日は練習する場所あるの?」

「はい。いつもの場所取りました」


 加地さんからは特に何も言ってこなかったので、私はいつもの場所が取れたと思っていた。


 だが、その場所へ数人の部員と行った時、知らない人達が使っていて私は面食らった。

 事情を聞けば、野球部の人達だった。

 いつもはサッカー部が先に取るから、雨の日はサッカー部の場所というイメージだったが、誰もこの部屋を使う予定がなかったので、使用する事にしたらしい。


 どういうことだ。

 場所取りがきちんとできてなかった。


 血の気がどんどん引いていき、震えまできてしまう。

 すぐさま、側にいたサッカー部員達に謝るも、何が起こってるか把握できずに混乱していた。


 なぜ場所が取れなかったんだろう。

 加地さんが使用許可を取るといったから、私は全てを任せてしまった。

 
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