毛づくろう猫の道しるべ
3
降り続く雨。誰もが傘を差して学校に向かって歩いていた。
私もその中の一人だが、傘で視界が狭まり、雨に気をとられてしまって周りをよく見ずにいたら、まさか常盤さんが歩いている隣に出くわすとは思わなかった。
傘をずらした瞬間、視界に入った時はすでに手遅れで、思わず「あっ」と声が漏れて、私の存在を知らしめてしまった。
常盤さんも振り向きざまに「あっ」と声を上げていた。
厄介な人に出会ったが、雨の中走って逃げる気力もなく様子を見ていると、案の定常盤さんは突っかかってきた。
「あなた最近、いい気になり過ぎね。櫻井さんが辞めるのを分かっててサッカー部に入り込んだり、マネージャーを盾に草壁君に近づいたり、立場を弁えまえないといけない一年生の分際で、生意気すぎるわ」
全ての事情を知ってるので、常盤さんの言い分に呆れてしまった。
「それって、八つ当たりですか?」
「何を言うの。私は一年生がどうあるべきか忠告してるだけよ。遠慮ってものもわからないの」
「遠慮? 何に対してですか?」
「あなたね、そんな事言われないとわからないの?」
「この場合は、誰もがわからないと思います」
本当の理由を知ってるが故、常盤さんの理不尽なルールはナンセンスだ。
私もその中の一人だが、傘で視界が狭まり、雨に気をとられてしまって周りをよく見ずにいたら、まさか常盤さんが歩いている隣に出くわすとは思わなかった。
傘をずらした瞬間、視界に入った時はすでに手遅れで、思わず「あっ」と声が漏れて、私の存在を知らしめてしまった。
常盤さんも振り向きざまに「あっ」と声を上げていた。
厄介な人に出会ったが、雨の中走って逃げる気力もなく様子を見ていると、案の定常盤さんは突っかかってきた。
「あなた最近、いい気になり過ぎね。櫻井さんが辞めるのを分かっててサッカー部に入り込んだり、マネージャーを盾に草壁君に近づいたり、立場を弁えまえないといけない一年生の分際で、生意気すぎるわ」
全ての事情を知ってるので、常盤さんの言い分に呆れてしまった。
「それって、八つ当たりですか?」
「何を言うの。私は一年生がどうあるべきか忠告してるだけよ。遠慮ってものもわからないの」
「遠慮? 何に対してですか?」
「あなたね、そんな事言われないとわからないの?」
「この場合は、誰もがわからないと思います」
本当の理由を知ってるが故、常盤さんの理不尽なルールはナンセンスだ。