毛づくろう猫の道しるべ
8
ブンジと最後のお別れをして家を出た時は、すでに登校時間には間に合わず、遅刻すると分かっていた。
それもまたどうでもよいことだった。
案の定、担任がすでにホームルームをしている時に、私は教室に入った。
クラス全員から注目を浴びたけど、何も感じず堂々とふてぶてしく席に着いた。
以前の私なら、恥かしくコソコソとして遠慮がちに身を丸めていただろうけど、そんな事をする方が笑われるというものだった。
先生から、何かあったのかと言われたが「いいえ」とそっけなく返し、鞄から筆記用具、教科書、ノートを出すことの方に集中した。
希莉が振り返り私を見ていたような気がするが、もちろん無視する。
どうせ、愛想笑いしたところで、何の反応もないのだから、視線を感じて振り向くのも邪魔くさかった。
一時間目の授業が終わったところで、柚実が希莉を引っ張って私の前に現われた。
私は無表情に顔を上げ、じっと交互に二人を見据える。
「何かあったの、千咲都。遅刻も珍しいし、雰囲気もいつもと違う」
「悪いけど、一人にしてくれる。どうせ何を言ったところで、私達は仲たがいしたままだし、もう疲れたの。それなら無視してくれていいから」
「どうしたの、千咲都」
柚実は酷くびっくりし、口を半開きにして動揺していた。
希莉も驚いていたが、何かを思案する様子だった。
迷った挙句声を掛けてきた。
「千咲都、何があったの?」
私は思わずキッと希莉を睨みつけていたように思う。
急に声を掛けてきたことが受け入れられなかったし、これ以上話をしたくなくて態度に知らずと本音が出ていた。
「放っておいて」
それもまたどうでもよいことだった。
案の定、担任がすでにホームルームをしている時に、私は教室に入った。
クラス全員から注目を浴びたけど、何も感じず堂々とふてぶてしく席に着いた。
以前の私なら、恥かしくコソコソとして遠慮がちに身を丸めていただろうけど、そんな事をする方が笑われるというものだった。
先生から、何かあったのかと言われたが「いいえ」とそっけなく返し、鞄から筆記用具、教科書、ノートを出すことの方に集中した。
希莉が振り返り私を見ていたような気がするが、もちろん無視する。
どうせ、愛想笑いしたところで、何の反応もないのだから、視線を感じて振り向くのも邪魔くさかった。
一時間目の授業が終わったところで、柚実が希莉を引っ張って私の前に現われた。
私は無表情に顔を上げ、じっと交互に二人を見据える。
「何かあったの、千咲都。遅刻も珍しいし、雰囲気もいつもと違う」
「悪いけど、一人にしてくれる。どうせ何を言ったところで、私達は仲たがいしたままだし、もう疲れたの。それなら無視してくれていいから」
「どうしたの、千咲都」
柚実は酷くびっくりし、口を半開きにして動揺していた。
希莉も驚いていたが、何かを思案する様子だった。
迷った挙句声を掛けてきた。
「千咲都、何があったの?」
私は思わずキッと希莉を睨みつけていたように思う。
急に声を掛けてきたことが受け入れられなかったし、これ以上話をしたくなくて態度に知らずと本音が出ていた。
「放っておいて」