毛づくろう猫の道しるべ
 急におかしくなって私達は笑いあった。

 本当に久し振りの笑いだった。

「希莉の言いたいこと。わかった」

「それで?」

「希莉は私が好きなんでしょ」

「うん」

「私も希莉が大好き」

「そんなのわかってる」

「希莉は頑固で、ちょっと偉そうで、きつい」

「今頃気がついたの?」

「ううん、前から気がついていた」

「じゃあ、なんでもっと早く言わなかったの?」

「なんでだろう。私が臆病だった。でももう我慢しない」

「本当?」

「うーん、やっぱりどうかな。希莉は怖いから……」

「千咲都! 誰が怖いだ!」

「ほらすぐに力ずくでくるじゃない。希莉だって時には私を立ててよ」

「やだ、私は千咲都を虐めるのが趣味だもん」

「そんなの不公平。そしたら宿題もノートももう見せないからね」

「あっ、それ困る。千咲都さま、あなたは偉い、天才、かわいい」

「調子に乗りすぎ」

 私は希莉の頭を軽くポンと叩いた。

 そんなこと今までしたことなかったのに。

「私に暴力を振るとは10年早い」

「希莉はいつも私にするぞ」

「あれ、そうだっけなぁ」

 私達は漫才の掛け合いのように会話をしていた。

 しまいには馬鹿らしくなって笑ってしまう。

 それは初めて知り合った時のように新鮮だった。 

「おはよう、千咲都、希莉。何、私抜きで仲良くしてるの。仲間はずれはやだ」

 柚実が中に入ってきた。

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