毛づくろう猫の道しるべ
ただそれが私と同じ方向に行くことを強く望むのだけども、どこかで道を誤りそうになったとき、きっとブンジが道しるべになって近江君を導いてくれるはず。
きっと、絶対、そうだよね、ブンちゃん。
毎日近江君の新聞配達を見て、道しるべになってたくらいだから、近江君の夢枕に現われないはずがない。
そんな期待を込めて、毎日ブンジの遺骨に出ろ出ろと催促している。
今では拝んで崇めるほどの神様になってしまった。
ブンジが居なくなって、近江君も異国に行ってしまった。
大切な人(ブンジは猫だけど)が離れていく。
足元みれば、ブンジが居そうに思えるし、朝バイクのエンジンの音が聞こえたら、近江君のようにも思える。
ぽっかりと穴が開いて、不意に寂しさがこみあげるけど、でも、その先の未来のためにまっすぐ前を向きたい。
私はこの夏、部活、宿題、希莉と柚実との付き合い、そして父が教えてくれる英会話──近江君に感化されて私がリクエスト──に忙しい。
私だって近江君に負けないくらい成長したい。
同じ一年を過ごして、近江君だけが立派に成長しているなんて悔しい。
自由に自分で作る一年。
これもまた、同じ方向へ進んでいる過程のうちなのかもしれないと私は思うことにした。
そんなある日の事。
近江君からメールが届いた。
メールする暇ないと言っていたのは嘘だったのか。
ただの虚勢か。
でも、近江君から連絡が入ったことは舞い上がるくらい嬉しかった。
だが、メールの中を開ければがっかりする。
そこにはURLが書いてるだけでクリックすれば、そのリンク先に飛べるようになっているだけだった。
しかしそのURLが恐ろしく長かった。
「一体なんのリンク先?」
本文はないし、訳のわからないURLのアドレスに、むすっとした気分でクリックした。
だけど繋がったとき私は息を飲んだ。
そこには出窓に座るブンジが写り込んでいた。
近江君はグーグルマップを見ていて、これを見つけたんだろう。
新聞配達のルートでも懐かしがってみていたのかもしれない。
自分の家がネットで見られるのもすごいが、そこに偶然ブンジが写り込んでいたこの奇跡に感動してしまった。
かしこまって座っているブンジ。
その姿はやっぱりかわいい。
きっと、絶対、そうだよね、ブンちゃん。
毎日近江君の新聞配達を見て、道しるべになってたくらいだから、近江君の夢枕に現われないはずがない。
そんな期待を込めて、毎日ブンジの遺骨に出ろ出ろと催促している。
今では拝んで崇めるほどの神様になってしまった。
ブンジが居なくなって、近江君も異国に行ってしまった。
大切な人(ブンジは猫だけど)が離れていく。
足元みれば、ブンジが居そうに思えるし、朝バイクのエンジンの音が聞こえたら、近江君のようにも思える。
ぽっかりと穴が開いて、不意に寂しさがこみあげるけど、でも、その先の未来のためにまっすぐ前を向きたい。
私はこの夏、部活、宿題、希莉と柚実との付き合い、そして父が教えてくれる英会話──近江君に感化されて私がリクエスト──に忙しい。
私だって近江君に負けないくらい成長したい。
同じ一年を過ごして、近江君だけが立派に成長しているなんて悔しい。
自由に自分で作る一年。
これもまた、同じ方向へ進んでいる過程のうちなのかもしれないと私は思うことにした。
そんなある日の事。
近江君からメールが届いた。
メールする暇ないと言っていたのは嘘だったのか。
ただの虚勢か。
でも、近江君から連絡が入ったことは舞い上がるくらい嬉しかった。
だが、メールの中を開ければがっかりする。
そこにはURLが書いてるだけでクリックすれば、そのリンク先に飛べるようになっているだけだった。
しかしそのURLが恐ろしく長かった。
「一体なんのリンク先?」
本文はないし、訳のわからないURLのアドレスに、むすっとした気分でクリックした。
だけど繋がったとき私は息を飲んだ。
そこには出窓に座るブンジが写り込んでいた。
近江君はグーグルマップを見ていて、これを見つけたんだろう。
新聞配達のルートでも懐かしがってみていたのかもしれない。
自分の家がネットで見られるのもすごいが、そこに偶然ブンジが写り込んでいたこの奇跡に感動してしまった。
かしこまって座っているブンジ。
その姿はやっぱりかわいい。