毛づくろう猫の道しるべ
 希莉の彼は、わたしもプリクラの写真を見せてもらったけど、年上でかっこいい人だった。

 美男美女でやはり釣り合いの取れてるカップルだと思った。

 柚実も中学のときから付き合ってる彼がいるとは聞いている。

 でも写真はまだ見せてもらったことはない。

 柚実の彼もきっとかっこいいに違いない。

 私は、今まで一度も付き合った経験なんてないから、二人が彼の話をし出すと置いてけぼりになってしまう。

 やっぱり羨ましいと思うし、私も男の人と付き合ってみたい願望はある。

 ボーイフレンドが欲しいと願うのは私だけじゃないと思う。

「だけど、希莉はもてるね」

「あのね、千咲都。もてることが全ていいことじゃないんだよ。好きな人に好かれなければ意味ないんだから。どうでもいい人にもてても嬉しくともなんともない」

「でも、誰にも好かれないのも寂しいよ。私なんて一度も付き合ったことないもん」

「それじゃ、付き合うだけでいいんだったら、今度私の彼の友達を紹介してあげようか。女子高生っていうだけで喜ぶ男が一杯いるんだって」

 私は思わず、心に希望の光が差し込んだようなドキドキした気持ちになった。

 私にも彼ができるかもという漠然的な期待が高まった。

 思わずこのノリに便乗して、喜び勇んで頼もうかと思った時、柚実が話に割り込んだ。

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