毛づくろう猫の道しるべ
7
その晩、自分の部屋に篭り、机の上に置いた白い封筒と私はにらめっこする。
時折、ヒラヒラと振ってみたり、蛍光灯にかざしてみたり、意味もなく触っていた。
椅子の背もたれに極限まで体を逸れさせて天井を仰いだり、座ったまま勢いでぐるっと椅子を回してしまうのは、イライラが募っている証拠だった。
最後はどうしようもないと大きなため息が出てしまう。
白い封筒は近江君の手助けになれる代わりに、希莉に余計なことをする災いでもあった。
希莉が受け取るのを拒否する姿が想像できる。
でも私は希莉の友達でもあり、もしかすれば私の顔を立ててくれる可能性もあるかもしれない。
希莉だって、私に頼みごとをしたことがある。
それは漫画の貸し借りであったり、宿題を見せることだった。
私は希莉のためだからと思って、嫌な顔をせずにそれらに応じてきた。
漫画も汚れるのがいやで、本当は誰にも貸したくない性分だけど、希莉は特別だからと無理して貸した。
それを希莉が誤って、ページを破ってしまったときは少しびっくりだったが、私は希莉の前では笑って許したし、弁償するといわれても断った。
希莉が友達だと思ったし、希莉のためなら我慢できた。
やっぱり希莉が好きだし、希莉に頼まれたら私は断れない部分もあった。
私がこれだけの事をしているし、いつも希莉の言うことを聞いてるから、手紙を受け取るくらい大丈夫かもしれない。
それが持ちつ持たれつの友達というものではないだろうか。
私は自分が今まで希莉にしてきたことを担保のように見なして、自分の都合のいいようにしか考えられなかった。
「だよね、ブンちゃん」
時折、ヒラヒラと振ってみたり、蛍光灯にかざしてみたり、意味もなく触っていた。
椅子の背もたれに極限まで体を逸れさせて天井を仰いだり、座ったまま勢いでぐるっと椅子を回してしまうのは、イライラが募っている証拠だった。
最後はどうしようもないと大きなため息が出てしまう。
白い封筒は近江君の手助けになれる代わりに、希莉に余計なことをする災いでもあった。
希莉が受け取るのを拒否する姿が想像できる。
でも私は希莉の友達でもあり、もしかすれば私の顔を立ててくれる可能性もあるかもしれない。
希莉だって、私に頼みごとをしたことがある。
それは漫画の貸し借りであったり、宿題を見せることだった。
私は希莉のためだからと思って、嫌な顔をせずにそれらに応じてきた。
漫画も汚れるのがいやで、本当は誰にも貸したくない性分だけど、希莉は特別だからと無理して貸した。
それを希莉が誤って、ページを破ってしまったときは少しびっくりだったが、私は希莉の前では笑って許したし、弁償するといわれても断った。
希莉が友達だと思ったし、希莉のためなら我慢できた。
やっぱり希莉が好きだし、希莉に頼まれたら私は断れない部分もあった。
私がこれだけの事をしているし、いつも希莉の言うことを聞いてるから、手紙を受け取るくらい大丈夫かもしれない。
それが持ちつ持たれつの友達というものではないだろうか。
私は自分が今まで希莉にしてきたことを担保のように見なして、自分の都合のいいようにしか考えられなかった。
「だよね、ブンちゃん」