毛づくろう猫の道しるべ
雨の日でも柚実は爽やかだった。
それに比べて私は──。
「おはよう、千咲都。なんか顔色悪いね」
心配事が血行のめぐりを悪くして、やっぱり顔に出てくるものだろうか。
暗く思いつめたら健康に悪影響をもたらすのだろう。
今のところまだ気分だけだが、そのうち胃も痛くなるかもしれない。
「あっ、おはよう、柚実。いや、ちょっとね」
「どうしたの? なんかあったの?」
柚実が目を一瞬大きくして驚いた様は、親身になって心配してくれているのが伝わる。
柚実に先に相談した方がいいだろうか。
でも冷静な柚実は、私の肩を持つことなく、いつも中立で自分で判断しろと放っておくタイプでもある。
希莉の性格もよく理解してるから、先に止めておいた方がいいと助言することだろう。
柚実のクールな部分は憧れるし、尊敬もするが、私は合わせるのが精一杯でイマイチ入り込めない形式的な付き合いを感じてしまう。
だけど、柚実もまた自慢できるほどのレベルの高い友達だった。
そんな柚実は物腰柔らかく優しい。
誰とでも合わせられる人だから、私はそれに甘んじて一緒に居ることができるにすぎない。
どっちかといえば、柚実は希莉と一緒の方がお似合いの友達だし、私と一緒にいると釣り合わないように思える。
自分の立場を基準に、人がどの位置にいるかとか、つい私は自分の物差しで人間関係を見てしまっている。
だけど、高校生では多少の無理をして、自分を演じないといけないようにも思えて、私は精一杯背伸びをしている状態だ。
本当はもっと気軽に自分の問題を話して、助けて欲しいのに、それを素直に表に出せない間柄は少々虚しいが、見栄と自尊心の高まりを優先しすぎて、そっちを重んじてしまう。
恥をさらけ出して嫌われることの方が怖かった。
自分で自分の価値を上げたいがために、無理をしていい子ぶって演じる。
わかっているけども、すでに始まりをそのように迎えてしまった今では後に引けず、騙しだましに乗り切ろうとしていた。
柚実の前でも正直に言えず、そして無理して笑ってしまう。
「ううん、なんでもないんだ。ちょっと寝不足」
しかも嘘の口実をつけて。
それに比べて私は──。
「おはよう、千咲都。なんか顔色悪いね」
心配事が血行のめぐりを悪くして、やっぱり顔に出てくるものだろうか。
暗く思いつめたら健康に悪影響をもたらすのだろう。
今のところまだ気分だけだが、そのうち胃も痛くなるかもしれない。
「あっ、おはよう、柚実。いや、ちょっとね」
「どうしたの? なんかあったの?」
柚実が目を一瞬大きくして驚いた様は、親身になって心配してくれているのが伝わる。
柚実に先に相談した方がいいだろうか。
でも冷静な柚実は、私の肩を持つことなく、いつも中立で自分で判断しろと放っておくタイプでもある。
希莉の性格もよく理解してるから、先に止めておいた方がいいと助言することだろう。
柚実のクールな部分は憧れるし、尊敬もするが、私は合わせるのが精一杯でイマイチ入り込めない形式的な付き合いを感じてしまう。
だけど、柚実もまた自慢できるほどのレベルの高い友達だった。
そんな柚実は物腰柔らかく優しい。
誰とでも合わせられる人だから、私はそれに甘んじて一緒に居ることができるにすぎない。
どっちかといえば、柚実は希莉と一緒の方がお似合いの友達だし、私と一緒にいると釣り合わないように思える。
自分の立場を基準に、人がどの位置にいるかとか、つい私は自分の物差しで人間関係を見てしまっている。
だけど、高校生では多少の無理をして、自分を演じないといけないようにも思えて、私は精一杯背伸びをしている状態だ。
本当はもっと気軽に自分の問題を話して、助けて欲しいのに、それを素直に表に出せない間柄は少々虚しいが、見栄と自尊心の高まりを優先しすぎて、そっちを重んじてしまう。
恥をさらけ出して嫌われることの方が怖かった。
自分で自分の価値を上げたいがために、無理をしていい子ぶって演じる。
わかっているけども、すでに始まりをそのように迎えてしまった今では後に引けず、騙しだましに乗り切ろうとしていた。
柚実の前でも正直に言えず、そして無理して笑ってしまう。
「ううん、なんでもないんだ。ちょっと寝不足」
しかも嘘の口実をつけて。