毛づくろう猫の道しるべ

 全ての授業が終わった後の緩んだ空気が流れる放課後。

 思い思いに教室や廊下に生徒が散らばっている。

 同じ制服を着ているというのに、ここでは疎外感たっぷりに私は異分子だった。

 見知らぬ人ばかりとすれ違い、唯一の頼れる命綱は前を歩いている草壁先輩のみ。

 しかし、その命綱ですら、掴んでいいのかわからない。

 それでも草壁先輩の背中を見失わないように、必死に私は着いて行く。

 すれ違った女子達が何事かと振り返り視線を向ければ、その度に私はどんどん肩身が狭くなった。

 二年一組の教室まで来た時、草壁先輩は堂々と中へ入って行った。

 でも私の足はそこで急ブレーキをかけ止まってしまう。

 そんな私を見かねて、草壁先輩は引き返し私の腕を引っ張って、無理やり中に引き込んだ。

 その勢いのまま、窓際でたむろしている男子生徒たちめがけて突き進んだ。

「出渕!」

「おっ、草壁。一体なんだよ。あれっ、千咲都ちゃんも一緒?」

「お前、千咲都ちゃんをメッセンジャーとして扱っただろ」

 手に持っていた手紙をひらひらと宙で振っていた。

「あっ、それは」

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