毛づくろう猫の道しるべ
 クラスに入れば、とりあえず出席番号順に座るようになっていた。

 緊張して自分の席を見つけたとき、すでに私の席の前には誰かが座っていた。

 私が席に着くと同時に、前の席の子が振り向いてニコッと微笑んだ。

「おはよう」

 気さくに話しかけてくる行動に、少し戸惑いながらも、ここが勝負だと気を取り直して背筋を伸ばし、私も元気良く「おはよう」と返した。

 そしてまた彼女が私に話しかける。

「私、笹山希莉(ささやまきり)、よろしく」

「私は遠山千咲都(とおやまちさと)。こちらこそよろしくね」

 この挨拶がこの始まりの全てだった。

 希莉は今まで仲良くなった友達とは違うタイプの女の子で、自分に自信を持ってるような、洗練された顔つきをしていた。

 ハキハキとしては、人に流されない自分スタイルを持っている感じがして、それこそ中学時代にあこがれて見ていたグループに所属するような女の子だった。

 そして女の私の目から見てもかわいい。

「私達の名前、どっちも山がついてるね。なんだか気が合いそうだね」

 希莉はそういうとニコッとする。

 私も負けないくらいの笑顔を返した。

 その後、希莉はさりげなくそっと私の髪に触れた。
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