毛づくろう猫の道しるべ
 昼休みに図書館に集まる人達は、やはり本好きなのだろう。

 勉強用に用意されたテーブルで本を読みながら座っていたり、棚に向かって好みの本を探している人達が居た。

 校舎の一番端で外に面した部分が全てガラス張りで、日当たりもよく明るい設計。

 お茶が出てくれば、サンルームのようにお洒落な空間だった。

 ここには開放感があった。

 私も何かいい本があれば借りてみようかという気になり、棚に沿って本を見てみた。

 どうせ弟から借りた本は、趣味に合いそうもないし、できたら面白い本が読みたかった。

 適当に本棚を見ていると、後ろから声がした。

「もしかして、俺に会いに来たとか?」

 振り返れば近江君がニタッと笑っていた。

 やっぱりここに居た。

「えっ、ち、違うわよ…… でも、居るかもとは思ったけど」

「だったら、多少は会いたかった気持ちはあったってことか?」

「……」

 私は無言で目を凝らして近江君をじっと見てしまう。

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