毛づくろう猫の道しるべ
「とても艶ややかなさらっとした髪で綺麗だね」

「あ、ありがとう」

 朝のシャンプーとトリートメントが効いていたのだろう。

 それこそ気合を入れてきた賜物だった。

「えーっと、チサトちゃんだっけ、出席番号の縁だ、よかったら友達になって」

「も、もちろん!」

 私は顔が痛くなりそうなほどの笑みを添えて、思いっきり喜んで返事した。

 あまりにも大げさなリアクションだったのか、希莉がそれに受けて笑い出した。

「千咲都ちゃんって面白いね」

 それが褒め言葉のように聞こえて、私はとても嬉しかった。

 すぐにお互いのスマートフォンを出して、電話番号とメールアドレスを交換した。

 これは希莉がそうしたいと言ったので、私は有頂天になりながら、喜んでそれを受けた。

 こんなに早く、しかもスムーズに事が運んでいいのだろうか。

 希莉は私が理想とする友達そのものだった。

 明るく、気さくで、親しみやすく、そしてとてもかわいい。

 私はこの時、自分が明るくいつも笑って、そして人には常に優しく思いやっていればきっと好かれて、いい関係が築けると信じてやまなかった。
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