スワロウテイル
沙耶の家は農家だ。父親がお米と野菜を作り、母親は町役場でパート事務員をしている。
蔵のある大きな一軒家で、両親と弟と祖母と飼い犬のチロルと暮らしている。
霧里町ではごくごく標準的な家庭だった。
「ただいま」
自分の部屋に行く前に居間に顔を出すと、中学に上がったばかりの弟の陸がぶかぶかの学ラン姿でおやつを食べていた。
「プリン? 私の分は?」
「冷蔵庫にあるよ。 あと、また姉ちゃん宛に荷物届いてた。 無駄使いし過ぎだって母ちゃん怒ってたよ」
沙耶はその発言は無視することに決め、冷蔵庫からプリンと食器棚からスプーンを取り出し2階の自分の部屋へと向かった。
6畳の和室。沙耶はそこにフローリング調のカーペットをひき、小花柄のカーテンをかけて、無理やり洋室にした。
窓際の勉強机の上に小さなダンボールが置かれていた。
沙耶は急いでダンボールを破り、中身を確認した。
「よかったぁ〜間にあった」
小さな箱の中身は黒目を大きく見せるためのカラーコンタクトだ。
ストックがあと2日分しかなかったのだ。カラコンをしているのと、していないのとでは整形手術並に顔が違う。
この荷物が届く前にストックがきれたら、学校を休むつもりだった。
市内に出れば、もちろん化粧品くらいは手に入るけどカラコンは売っていない。
それに、化粧品も扱っているメーカーはあまり多くない。
沙耶は口コミサイトで評判のいい化粧品を探しては、スマホから買い物をしていた。
だけど、こんな生活ともあと1年弱でさよならできる。
大学は東京に行くつもり。そのためにしっかり勉強はしているし、両親の了解だって取れていた。
東京なら、カラコンも化粧品もかっこいい男の子もきっといくらでも手に入る。
沙耶は高校を卒業できるその日が楽しみで仕方なかった。今の生活には何の未練もないし、友達も‥‥卒業式が終われば沙耶から連絡することはきっとないだろう。
蔵のある大きな一軒家で、両親と弟と祖母と飼い犬のチロルと暮らしている。
霧里町ではごくごく標準的な家庭だった。
「ただいま」
自分の部屋に行く前に居間に顔を出すと、中学に上がったばかりの弟の陸がぶかぶかの学ラン姿でおやつを食べていた。
「プリン? 私の分は?」
「冷蔵庫にあるよ。 あと、また姉ちゃん宛に荷物届いてた。 無駄使いし過ぎだって母ちゃん怒ってたよ」
沙耶はその発言は無視することに決め、冷蔵庫からプリンと食器棚からスプーンを取り出し2階の自分の部屋へと向かった。
6畳の和室。沙耶はそこにフローリング調のカーペットをひき、小花柄のカーテンをかけて、無理やり洋室にした。
窓際の勉強机の上に小さなダンボールが置かれていた。
沙耶は急いでダンボールを破り、中身を確認した。
「よかったぁ〜間にあった」
小さな箱の中身は黒目を大きく見せるためのカラーコンタクトだ。
ストックがあと2日分しかなかったのだ。カラコンをしているのと、していないのとでは整形手術並に顔が違う。
この荷物が届く前にストックがきれたら、学校を休むつもりだった。
市内に出れば、もちろん化粧品くらいは手に入るけどカラコンは売っていない。
それに、化粧品も扱っているメーカーはあまり多くない。
沙耶は口コミサイトで評判のいい化粧品を探しては、スマホから買い物をしていた。
だけど、こんな生活ともあと1年弱でさよならできる。
大学は東京に行くつもり。そのためにしっかり勉強はしているし、両親の了解だって取れていた。
東京なら、カラコンも化粧品もかっこいい男の子もきっといくらでも手に入る。
沙耶は高校を卒業できるその日が楽しみで仕方なかった。今の生活には何の未練もないし、友達も‥‥卒業式が終われば沙耶から連絡することはきっとないだろう。