さよならはまたあとで

6月なのに気持ちのいい天気だ。
湿気も少なくて、せっかちな夏が下見に来たような感じだった。

コンクリートからの照り返しが強くて、足が焼けそうである。
もっとしっかり日焼け止めを塗ってくればよかったと後悔する。

私たちは歩いて5分のコンビニエンスストアに入った。
冷たい風が、ドアが開くと同時に溢れてくる。


「涼しいね」


二人の声が重なる。

私たちは顔を見合わせてクスクス笑った。


「こういう時ってハッピーアイスクリームって言うんだよね。早く言った方がアイス奢ってもらえるの」


「嘘、そうなの?知らなかった」


私が事件に遭う前、仲のいい友達とよく学校帰りに駄菓子屋に寄っていた。

色とりどりのランドセルを並べながらお喋りをする。
そして「ハッピーアイスクリーム」が出ると、駄菓子屋でアイスを奢り合う。

思い返すと懐かしくて、眩しい感じがした。
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