さよならはまたあとで

「そういえばー!次は優恵ちゃんのファッションショーだよ!!」


渚は約30分踊りっぱなしだったのにもかかわらずこの元気の良さだ。


「そろそろ控え室行こう!メイクとヘアセットしなくちゃ」


私は二人に手を引かれ、体育館の更衣室に臨時に設けられた控え室に向かった。


控え室の扉を開けると、気持ちの良い風が私たちの脇を吹き抜けた。

5台もの扇風機がフル稼働していて、クーラーが無くてもとても涼しかった。

私たちはクラスごとに割り当てられた場所に向かった。

七瀬は朝早くに時間を作って、出来上がった衣装をこの部屋に置いておいてくれたらしかった。

七瀬の作ったドレスは、本物のプリンセスが着るようなクオリティーに仕上がっていた。

渚の言った通り、腕前は確かだった。

ちょうど昨日、私はドレスを試着して、三人で写真を撮った。

七瀬は達成感に満ちた顔で、渚はげっそりと疲れた顔で、そして私は事件前の明るかった頃の顔で写っていた。

家に帰ってからお母さんに見せたら、「優恵ってこんな顔するんだっけ」と言いながら涙ぐんでいた。
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