さよならはまたあとで
私はハッとした。
優恵って、呼んでくれた…
二人がものすごく近く感じた瞬間だった。
「ゆ、優恵…えとね、優恵!」
七瀬も渚に続いて、ちょっぴり照れくさそうに笑った。
「七可愛い…てか、渚はまだ食べるつもりなの?」
私もつられて笑う。
渚も、七も、笑っていた。
今まで閉じ込めていた感情が、一気に溢れ出す感じがした。
やっと、自分を取り戻せたような気がする。
頭上のタイマーなんて、もう視界にも入らなくなっていた。
だんだん気にならなくなって、遠ざかっていくのだろうか。
私はこの時、本当に自分のことばっかりだった。
それに気づいたのはだいぶ後のことだ。