さよならはまたあとで
線香花火
ちゅんちゅんという雀の鳴き声。
携帯から鳴るアラームの音。
布団の中からやっとの事で手を伸ばし、鳴り続けるアラームを止めた。
二度寝したい気持ちを抑えて顔を上げる。
カーテンの隙間から差し込む陽射しに目を細めた。
夏休みも半分が過ぎた。
律太が現れなかったあの日、家に帰ってからやっと、律太からの連絡があった。
『本当にごめんね。急な用事があって』
そうやって謝られたら、大丈夫だよって言うしかないじゃないか。
それからはぷっつりと連絡はなくなった。
律太と海に行くリベンジもなく、その代わりに出かけることもなく。