さよならはまたあとで
会話のないまま花火はだんだんと減っていった。
ロウソクが風で消えるたびに、律太が再び火を灯す。
その間の少しの時間だけ、明かりは公園の街灯だけになる。
それはまるで律太と出会う前の自分に戻ってしまったかのようで、私はぎゅっと下唇を噛む。
最後の線香花火に火を灯す。
炎の玉が少しずつ大きくなっていく。
「あのさ、」
先に切り出したのは律太だった。
私は何も言わず顔を上げる。
「今度、これ行かない?」
彼が私に差し出したのは2枚のチケット。
『プラネタリウム夏の星空』
と書かれている。
私は受け取ろうと手を出して、はっと今日のことを思い出し、すぐに手を引っ込めた。
律太は不思議そうに私を見つめる。