さよならはまたあとで
「暗くて無愛想でどうしようもなかった私を、律太は優しいから気にかけてくれたんだよね。ありがとう。でも、もう大丈夫だから。
…私は律太と葛城君にたくさん笑顔と元気と強さをもらったから、もう大丈夫。
律太ももう私なんか相手にしなくていいんだよ。」
私は引きつる頬を懸命に持ち上げる。
口の端をしっかりと上げる。
目はじんじんと熱を持って熱かった。
どうして私はこう、素直になれないんだろう。
律太は私に何か言い返そうとして、やめた様子だった。
所在なく挙げられた手が虚しくそのまま残る。
「律太は…律太は律太を必要としてる人のところにいなくっちゃ」
私はその言葉で限界に達した。
無意識に溢れ出す涙を慌てて手で拭って、「花火、ありがとう」と一言残してその場から逃げ出した。