さよならはまたあとで

落ち着いて、拭いきれなかった涙も太陽の光に乾かされてきた頃、私たちはお互い真っ赤な目を合わせて燈太の思い出話をした。


「そういえば」


私が切り出すと、腫れて一重になった彼の目が私をじっと見つめる。


「この前の話…あの、よろしくお願いします」


「ふぇ、この前の話って…」


間抜けな声で首をかしげる。

それから、あぁ!と意味を理解したらしく、今日一番の笑顔を見せた。


「ペンギンさん効果抜群だね」


無邪気にウインクをする姿は本当に可愛い。

確かに可愛いけれど、私はかといって彼のことが好きになったわけじゃない。

律太への恋心を完全に断ち切るには、これが一番の方法だった。

一緒にいるうちに好きになるかもしれない。
明良を利用してるじゃないかと言われたら否定はできない。

でも、好きになりたいという気持ちは確かだった。
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