さよならはまたあとで
「なんだ、そのことか」
顔を上げると、律太はなんだかほっとした顔で笑っている。
「俺、優恵に嫌われちゃったのかと思って、すっげー焦った。でも、そうじゃないって分かったらなんだか安心した」
「本当にごめんね」
「もう謝らないでよ。優恵は悪くないし、むしろ優恵に誤解されるような行動してた俺の方が悪いし。ごめん。」
私は首を横に振る。
よかった、また元に戻れる。
「冬休みは、どこに行く?」
私はずっと考えていた言葉を口にする。
「そんな、冬休みまで待ってられないよ」
彼はそう言いながら私を笑い飛ばした。
「近いうちに遊園地行こう。
紅葉が綺麗なところがあるらしいんだ。
葛城のやつが言ってた」
予想外の返答に少し調子を狂わせられながらも私は嬉しくて、そっと頷いた。
やっと素直になれた。
これも明良のおかげだ。