さよならはまたあとで

帰り道もいつもの空気だった。

今日私が律太に声をかける前まであった壁は、崩れ去ってどこかへ消えていた。


「またね」


いつもの公園。

赤く染まる空。

もう、独りブランコに座り、ぼんやりする私はどこにもいない。


「またね」


私もそう返して手を振った。


「明日も会おうね」の保険をかけて、私は律太と別れた。
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