さよならはまたあとで
『次に、話さなくちゃいけなかったこと。
それは、俺の兄弟の話。
俺が自殺しようと考えるに至ったまでの話です。
俺には、双子の弟がいた。
名前は、燈太。
あいつはもともと、芹崎燈太だった。
両親が離婚するとき、一番揉めたのが俺たちの親権のことだった。
俺たちはすごく仲のいい兄弟だったのに、母さんと父さんは、俺たちを引き離すことで和解した。
俺は父さんに、燈太は母さんに引き取られた。
燈太は母さんの実家がある、隣町に引っ越した。
学校もバラバラになって、苗字も変わった。
昨日まで家族だったのに、まるで他人みたいだった。
でも、俺らは毎週末に会うことができた。
二人で遊んだり、ゲームしたり、すごく楽しかった。
実は、優恵のことを知ったのはこのときだったんだ。』
そうだったんだ。