さよならはまたあとで

『燈太はいつも、新しい学校にいる、可愛い女の子の話ばかりしていた。

その子は優恵ちゃんっていって、すごく可愛いのに大人しくて、下ばかり向いてるってね。

誘拐事件に遭ったっていうことも燈太から聞いていた。

優恵のことを話す燈太は、見たこともないくらいニコニコしてて、幸せそうだった。
俺はちょっぴり羨ましかった。

それから間もなくして、父さんは再婚した。


俺は父さんの息子とか…家族っていうよりは、使用人って感じで、相手にさえしてもらえなかった。

悲しくなったよ。

なんで俺は父さんなんかに引き取られたんだろうって、いつも泣いてた。
再婚相手との子供の子守のおかげで、俺は燈太となかなか会えなくなった。』



知ってるよ。

この前手を繋いで歩いてたの、再婚相手の連れ子なんだよね。

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