さよならはまたあとで
「優恵ちゃんはもう大丈夫だよ。
優恵ちゃんは、ちゃんと、律太の事が好きだよ。」
燈太は私に向き合うと、そう笑いかけた。
「だから、僕のことはもう、たまに思い出す程度でいいよ。オリンピックくらいで」
「そんな、無理だよ」
「無理じゃないよ。優恵ちゃんはまだ生きてるんだから」
「僕は死んじゃってるけどさ」
彼はそう続けた。
そうだ。
私は生きてるんだ。
生きてれば、なんだってできるんだ。
「僕はずっと優恵ちゃんのこと見てるからね。ここにいるから」
燈太は自分の胸にそっと手を添えるとクシャッと笑った。