さよならはまたあとで


「そろそろ時間かな」


燈太は私から離れると立ち上がった。

草木の擦り合う音がさっきよりも大きくなる。




「僕はさよならなんて言わないよ。



またね。」




燈太がどんどん離れていく。
手を伸ばすけれど、地面が伸びるように私と燈太は離れていった。


「またね!」


私は叫んだ。
全身の声を絞り出して。
< 246 / 256 >

この作品をシェア

pagetop