さよならはまたあとで
「もう一度、会えたらなぁ」
そう、私は意識のないままに呟いていた。
いつだって、私の心の中は燈太でいっぱいで、助けられなかった後悔と、無力感と、それからまだ忘れられない恋心がごちゃごちゃに混ざり合っていて、涙が溢れて、胸がギュッと苦しくなる。
謝りたい。
「助けてあげられなくてごめんね」って、一言だけでいいから伝えたい。
だから、律太の顔を見て、それが燈太にそっくりだと分かったとき、なんだか嬉しかった。
彼は燈太じゃないのに。
律太君に「ごめんね」って謝ったって、燈太君にはもう届かないのに…
私は溜息を吐いて、それから立ち上がった。