さよならはまたあとで
私にできること

朝、「おはよう」を言う相手が一人増えた。

私が改めて葛城を見ると、やはり頭上に寿命が見えた。

死因は老衰。

よかった。彼は長生きする。
私はホッと胸を撫で下ろした。

最近、学校で音楽を読んだり、本を読んだりする時間がずいぶんと減った。

自分の世界に入る時間も余裕も必要もなくなったからだろうか。


律太はいつも、私が教室に着いた10分後にやってくる。


「おはよう!」


いつも通りの律太の元気な声に、私は今日も安心させられる。
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