さよならはまたあとで
私の頭の中が燈太で溢れた頃、私はあの公園に着いた。

事故の前も、何度か燈太に誘われて来たことがある程度だったが、その景色が何一つ変わっていないことに安心感を覚えた。


子供達が数人、綺麗に整えられた芝生の上でサッカーをしていた。

私はその中に燈太が見えたような気がして、目を擦った。


燈太はもういない。


公園の入り口を見ると、そこにはたくさんの花やお菓子やジュース、それからサッカーボールが供えられていた。


ここで、燈太は…。


あの事故で亡くなったのは燈太ただ一人だった。

重い怪我をした人は、みんな後遺症もなく完治して、小学校の卒業式には全員揃った。

燈太だけがいなくなった。

卒業アルバムには右上の方には、誰かの親の厚意で燈太の写真が付け加えられていた。
私はそれを見るたび胸が苦しくなる。
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