さよならはまたあとで
そういえば、燈太はよく「夕焼け小焼け」を鐘の音に合わせて歌っていた。

正直、上手とは言えない微妙な歌唱力だったけれど、私も一緒になって歌っていた。


「やーまのお寺の鐘がなるー」


気づくと口ずさんでいた。

懐かしさが私を覆い、夕陽の赤い光が私を照らす。

燈太の歌声が聞こえた気がした。

あのちょっぴり音痴な歌。

私はなんだか可笑しくなってきて、クスリと笑った。


「また会いに来るね」


私は誰もいなくなった公園にそう言った。

それから間もなくして鐘の音は鳴り止んだ。

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