さよならはまたあとで
「なーにぼけっとしてんの」
窓の向こうを眺めていた私に声を掛けたのは、髪の毛が爆発した律太だった。
それが妙に似合ってて、私はくすくすと笑った。
「ちょっと、笑うなよ!!!
梅雨時はどうしてもこうなっちゃうんだよ」
律太は自分の髪を悲しそうにいじる。
「律のそのヘアスタイルは、中学のときからずっと変わらないな」
気づくと私達の中に葛城も加わっていた。
この三人が、最近の私の居場所である。
この頃にはもう、ひとりぼっちの私はいなかった。
「梅雨限定だからね!?
まるでずっとそうだったみたいに言ってるけど!!!」
律太のノリのいいツッコミで、私たち三人は声を出して笑った。