さよならはまたあとで
「次、授業なんだっけ?」
律太が大きな伸びをする。
葛城は「自分で見に行けよ」と言いつつ、教室の壁に貼られた時間割を見に行く。
「ロングホームルーム」
葛城がそう言うと、律太は嬉しそうに笑った。
「うっしゃ、寝れる!!」
「律はどの授業でも寝てるくせに」
葛城が呆れた顔でため息をつく。
「テストで点が取れればいいんだよ」
律太は唇を尖らせて葛城を足で突いた。
本当に二人は仲がいい。
この中に私を置いてくれているのは、きっと二人の優しさだ。
「ほら、席に着けー」
授業開始を知らせるチャイムと共に私たちの担任教師が入ってきた。
メガネがよく似合う細身の男性教師で、担当教科は英語である。
よく数学と間違われると、本人が以前言っていたが、確かにその通りだ。
見た目は完全に理系である。
優しいが、授業は恐ろしくつまらない。
そして本人にもその自覚はあるらしい。