さよならはまたあとで
面倒くさい。

それが私の本音。

誘拐事件の前はリーダーになることも多かったけど、それ以来は全くなかった。

自信もない。

私のせいでグダグダになったら嫌だ。

律太の顔は懇願するような表情になっていった。

彼は本当に表情が豊かだ。

私は助けを求めて葛城に視線を送った。

しかし彼はあっちの方を向いて知らん顔をしている。


「日高、やってくれるのか?」


先生がそう聞いてきた。

私は「はい」と答えるほかなかった。


「じゃあ、実行委員は前にでてきて話し合い進めてね。決めなきゃいけないことはこの紙に書いてあるから。」


先生は名簿から一枚の紙を取り出すと、教卓の上に置き、「ちょっと俺、職員室行ってくるわ」と言って教室を去っていった。
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