さよならはまたあとで
先生が残していった紙に目を通す。

クラスの出し物の企画についてのことがほとんどだった。

あとは、ファッションショーについてのことがちらほらと書かれていた。

私はギロリと律太を睨む。

あんな無茶ぶりをしてきた律太には反省してもらいたい。

私の睨みを食らった律太は、クマを見たときのようにゆっくりと目を逸らした。

私は白いチョークを手にとって、黒板に「模擬店について」と書いた。

私の字はあまり綺麗な方ではなく、癖字であるため、いつもより慎重に文字を書く。


「じゃあ、なんか意見ある人どうぞー」


自分から立候補した割には随分と適当である。

誰も反応しないのを見かねて、葛城が「縁日は?」と提案してくれた。

すると、さっきまで隣の子とこそこそ話していた女の子が手を挙げて、「縁日だったら浴衣が着たい!」と言った。

私たちの模擬店は、徐々に「縁日」の方向に進んでいった。

輪投げ、綿あめ、金魚すくい、ヨーヨーすくい

輪投げは自分たちで作れるし、綿あめの機械とヨーヨーすくいのプールを持ってきてくれるという人もいたおかげで、お金がかかるのは金魚すくいの一式と、景品と材料だけになった。

意外と協力的なクラスなんだなぁ。

私はきっと皆からしたら当たり前のことを初めて知った。

ずっと皆の輪から外れてきたから当然である。
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