【短編】あいのうた
恋人……そう、僕の愛しい奈々は。
僕の心の中では『7』を担当しているから。
円周率の『7』と巡り会うたびに。
ゆるいウェーヴのかかった茶髪で、大きな目をした奈々が、振り返ってくれるみたいで。
一緒に旅をするみたいで、嬉しかったんだ。
奈々と一緒なら。
飲まず食わずで、一昼夜以上を過ごす二十万桁の長旅も、そう悪くない。
だけど。
……腹へったぁ。
僕が、うーん、と伸びをしたとき。
正直な腹が、鳴る音が聞こえた。
ぐるぐるぎゅう~~
盛大な音を立てて鳴く、腹の虫の声は、僕のではない。
隣を見れば、井上教授が、真っ赤な顔をして腹を押さえていた。
彼女もまた。
僕にずっと付き合って、食事を取っていなかったから、相当、腹が減っているようだった。
いつも冷静に、仕事をこなす井上教授が、自分の腹の虫の音を恥ずかしがっている姿は。
なんだか、思いのほか、可愛い。
僕は、笑って、教授に言った。
「良かったら、これから一緒に、食事でもしませんか?
安くて美味しい、イタリアンを食わせてくれる店が、ここ……
……大学の研究室のすぐ近所にあるんです」
僕の心の中では『7』を担当しているから。
円周率の『7』と巡り会うたびに。
ゆるいウェーヴのかかった茶髪で、大きな目をした奈々が、振り返ってくれるみたいで。
一緒に旅をするみたいで、嬉しかったんだ。
奈々と一緒なら。
飲まず食わずで、一昼夜以上を過ごす二十万桁の長旅も、そう悪くない。
だけど。
……腹へったぁ。
僕が、うーん、と伸びをしたとき。
正直な腹が、鳴る音が聞こえた。
ぐるぐるぎゅう~~
盛大な音を立てて鳴く、腹の虫の声は、僕のではない。
隣を見れば、井上教授が、真っ赤な顔をして腹を押さえていた。
彼女もまた。
僕にずっと付き合って、食事を取っていなかったから、相当、腹が減っているようだった。
いつも冷静に、仕事をこなす井上教授が、自分の腹の虫の音を恥ずかしがっている姿は。
なんだか、思いのほか、可愛い。
僕は、笑って、教授に言った。
「良かったら、これから一緒に、食事でもしませんか?
安くて美味しい、イタリアンを食わせてくれる店が、ここ……
……大学の研究室のすぐ近所にあるんです」