からっぽのトランク
「お前のせいで働けないんだよな。

うつ病になっただって?!

 そんなに死にたきゃ俺が殺してやる!」


そう言って首を絞められながら窓の外の日が沈んだばかりの空は綺麗なんだ。。とほんやりその青を見て思っていた。



別れるか。私がこの人を殺すか。

そんな事ばかり考えていた。



財布の中にはいつも小銭ばかりで唯一自由に運転できる小さな軽自動車で
金魚鉢みたいな小さな田舎道を1日中
ぐるぐる回ってた。



私はあの頃と同じブラジャーをして離婚をしてちょっと都会に出て来たのだ。

お前のせいでも。
暴力も。暴言も。無いのだ。

でも。心の中はこの左肩のひもが下がるブラジャーのままだった。


虚しく垂れ下がりまたか。と、思い直しては
からっぽの胸を思った。
< 5 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop