からっぽのトランク
どこかに捨て鉢な気持ちで暮らしていたのは

本当だった。

へばりついた『私。。なんて。』や

『失敗した私。何も無い私。』

その日は6月だと言うのに暑いくらいだった。

男の街から私の街には1時間近くかかる。

来ないで欲しい気持ちと来たらどうしよう。と言う気持ちが混じり合っていた。

出会い系で殺される人もいるのに。

今日で私の人生は終わるかも知れない。なんて思っていたら待ち合わせ場所に白い服を
着た男が立っていた。

「こんにちは。」挨拶をして少し歩いた。

「昨日はありがとう。」

もう。どうなってもいい。


私は今。この男に会っているのだ。


初めて招き入れたのが白い服の男だった。

リサイクルシヨップで3千円で買った二人掛けのソファにちょこんと座って私を見ていた。

お茶をいれて出会い系ならするはずの
セックスをしないで私達は話しをした。

旅の話や音楽の話し。

時々笑ったりしたけれど。

やっぱり部屋はガランとしていた。

何か食べに行こうとなって近所のファミレスにでかけた。

彼の名前は一生と書いてかずおと読むんだそうだ。

「ふーん。かずお。。」

「海沿いの露天風呂から見る夕日が綺麗なが
あるんだよ。」

「へぇー。」

あんまり遊んでる風でも無いこの人は

一体どうして?こんなサイトで女に会って

いるのだろう。


顔を見つめながらわかろうとしてみた。

でも。

わからなかった。

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