かみとひとみ
1.物語
「ねぇ、そろそろいいんじゃない?」とミリは言った。
「もう?まだ少し早くないかな」と僕は答えた。
するとミリは少し残念そうな顔押してまた目を閉じた。
眠たい。今何時くらいなのだろう。もう朝なのだろうか。わからない。
寝すぎたせいか身体がとてもダルい。僕は起き上がる。
隣のミリはスースーと寝息をたてている。昔からミリは寝つくのが早いんだ。
ミリの目はとても綺麗だ。奥に悲しさをもっているミリの目が僕は大好きだ。ミリはとても美人だ。僕といなかったら多分モデルにでもなっていただろう。
しばらくぼーっとしていると、喉が乾いている、ということに気づいた。
困ったな、もう水は無い。
ジュースならあるのだけれど、少々特殊な味で僕はあまり好きではない。
ベッドからでて、長いこと掃除していない部屋を歩いた。嫌な臭いがして、足の踏み場がなかなか無い。そもそもベッドから出る日は少ないので、あまり気にしたこともなかった。
我が家には2つ部屋がある。今僕とミリがいる寝室、そして奥の部屋。僕は奥の部屋に入った。
暗い。この部屋に灯りはない。先ほどまで聴こえていた音はもう聴こえなくなっていた。
ミリの言う通り、もうよかったのか。
僕は手探りでかみを探す。
発見すると僕はそれを少しちぎってポケットに入れた。
寝室に戻る。ミリはまだ寝ていた。
「ミリ、起きて。君の言う通り、もう終わってたよ。」
ミリは目をこすりながら僕を見た。
「ね?あたしの言った通りじゃない。時間の感覚はあたしのほうが長けてるんだからね。それで、かみはもってきたの?」
「うん、もってきたよ。はい。」
僕はポケットのかみをミリにあげた。ミリは嬉しそうにそれを手に取った。
僕らの世界には時間というものがない。というか失った。ミリの感覚だけが僕らの世界では時間の基準だ。
「次は、どうする?」
ミリは朝食を食べながら僕にきいた。
「さぁ…次はどうしようかな」
僕は素っ気のない返事を返した。
「もう、いつもそれなんだから。その答えが1番困るのよ。」
ミリは少し機嫌を悪い表情をつくってみせた。いつものことだ。
「ま、あなたはいつもそう言いながらちゃんと持ってきてくれるのだけれどね」
と言ってニコッと笑った。これもいつもと同じ。
朝食を食べ終えたミリは、ぐーっと伸びをすると、
「じゃ、あたしはもう少し寝ることにするわ。」と言った。
これもいつもと同じだ。
こうして僕らの当たり前を繰り返す。
「じゃあ、僕行くね」
ミリは既に寝ていた。本当に寝つきが早い。
仕事に行くんだ、「行ってらっしゃい」の一言くらい欲しいものだな、と僕は思った。
僕は階段を登って仕事に行く。
それが僕の、僕とミリの当たり前だから。
外に出る。今日は暗かった。夜だったようだ。ラッキーだ。
僕らの当たり前に限界があることはわかっている。でもそれでも僕は、この当たり前が続いてほしい、と思っていた。
ミリと共にいれるのなら、僕はそれでいいから。
ミリのそばにいられるのが、僕の幸せだから。
例え、なにがあっても。
例え、僕らの世界が普通じゃなくても。
水が切れていたんだった。途中で水も調達して帰ろう。
そう思いながら、僕は仕事を始めた。
「もう?まだ少し早くないかな」と僕は答えた。
するとミリは少し残念そうな顔押してまた目を閉じた。
眠たい。今何時くらいなのだろう。もう朝なのだろうか。わからない。
寝すぎたせいか身体がとてもダルい。僕は起き上がる。
隣のミリはスースーと寝息をたてている。昔からミリは寝つくのが早いんだ。
ミリの目はとても綺麗だ。奥に悲しさをもっているミリの目が僕は大好きだ。ミリはとても美人だ。僕といなかったら多分モデルにでもなっていただろう。
しばらくぼーっとしていると、喉が乾いている、ということに気づいた。
困ったな、もう水は無い。
ジュースならあるのだけれど、少々特殊な味で僕はあまり好きではない。
ベッドからでて、長いこと掃除していない部屋を歩いた。嫌な臭いがして、足の踏み場がなかなか無い。そもそもベッドから出る日は少ないので、あまり気にしたこともなかった。
我が家には2つ部屋がある。今僕とミリがいる寝室、そして奥の部屋。僕は奥の部屋に入った。
暗い。この部屋に灯りはない。先ほどまで聴こえていた音はもう聴こえなくなっていた。
ミリの言う通り、もうよかったのか。
僕は手探りでかみを探す。
発見すると僕はそれを少しちぎってポケットに入れた。
寝室に戻る。ミリはまだ寝ていた。
「ミリ、起きて。君の言う通り、もう終わってたよ。」
ミリは目をこすりながら僕を見た。
「ね?あたしの言った通りじゃない。時間の感覚はあたしのほうが長けてるんだからね。それで、かみはもってきたの?」
「うん、もってきたよ。はい。」
僕はポケットのかみをミリにあげた。ミリは嬉しそうにそれを手に取った。
僕らの世界には時間というものがない。というか失った。ミリの感覚だけが僕らの世界では時間の基準だ。
「次は、どうする?」
ミリは朝食を食べながら僕にきいた。
「さぁ…次はどうしようかな」
僕は素っ気のない返事を返した。
「もう、いつもそれなんだから。その答えが1番困るのよ。」
ミリは少し機嫌を悪い表情をつくってみせた。いつものことだ。
「ま、あなたはいつもそう言いながらちゃんと持ってきてくれるのだけれどね」
と言ってニコッと笑った。これもいつもと同じ。
朝食を食べ終えたミリは、ぐーっと伸びをすると、
「じゃ、あたしはもう少し寝ることにするわ。」と言った。
これもいつもと同じだ。
こうして僕らの当たり前を繰り返す。
「じゃあ、僕行くね」
ミリは既に寝ていた。本当に寝つきが早い。
仕事に行くんだ、「行ってらっしゃい」の一言くらい欲しいものだな、と僕は思った。
僕は階段を登って仕事に行く。
それが僕の、僕とミリの当たり前だから。
外に出る。今日は暗かった。夜だったようだ。ラッキーだ。
僕らの当たり前に限界があることはわかっている。でもそれでも僕は、この当たり前が続いてほしい、と思っていた。
ミリと共にいれるのなら、僕はそれでいいから。
ミリのそばにいられるのが、僕の幸せだから。
例え、なにがあっても。
例え、僕らの世界が普通じゃなくても。
水が切れていたんだった。途中で水も調達して帰ろう。
そう思いながら、僕は仕事を始めた。