それを愛だというのなら
1.契約
昼休憩を知らせるチャイムが鳴ると、教室の中は独特の騒がしさに包まれる。
女子たちは机を動かし、いつものグループでお弁当や菓子パンを広げ始めた。
私もいつものように、机を二つくっつけ、4人でお弁当を広げた。
「サツキのお弁当って、いつも手がこんでるよねー」
「お母さん、料理好きだから」
向かいに座る友人のサツキのお弁当は、綺麗に敷かれたレタスの上に、から揚げや卵焼き、シリコンカップに入ったホウレンソウの胡麻和えが、きちんと同じ向きで詰められている。
「うらやましいよー。うちなんか今日、パンだよ」
そう言う右隣に座るフミは、大きなメロンパンの袋を不満そうな顔でばりっと開けた。
私はこっそりと、音を立てないようにいつもの小さなお弁当箱を開ける。
幼稚園児が使うようなサイズのそれには、おにぎりと大根の煮物、焼鮭、ゆでたブロッコリーが少しずつ入っていた。
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