それを愛だというのなら
「ああ……やっぱり俺、瑞穂のこと好きだなあ」
「健斗……」
「恥ずかしいくらい当たり前のこと、ちゃんと言ってくれる」
健斗。
健斗は私に、『俺さ、多分あんたが思っているような男じゃないよ』って言ったよね。
それは私の方だよ。
私は、健斗が思っているような、前向きで熱い女じゃないよ。
前向きに生きようとしているのに、いつだって病気の頃の自分が、脳裏にちらつくんだ。
前はああだったな、こうだったなって。
どうせ、すぐ死ぬんだって。
体が元気になったって、病気と死からは、逃れることができていない。
それらはいつだって、私の隣にある。
「好きだよ、瑞穂」
健斗は泣く私の頭を、自分の胸に引き寄せる。
優しく、なだめるように。
「元カノのことがあって、俺はもう誰も好きになれないんじゃないかって思ってた」
「うん……」