それを愛だというのなら
「とにかく、すぐに入院しましょう。ひとまず今晩は安静にして、明日朝一番で精密検査を行います」
そのまま私は、いつもの消化器内科の病棟にベッドごと連れていかれた。
準備をするために、お母さんと秋穂は家に戻る。
「お父さん……」
今回は大部屋に空きがなかったのか、静かな個室に運び込まれた。
テレビ台の横の椅子に座っていたお父さんが「どうした」と返事をする。
「健斗は……私を運んでくれた男の子は?」
「ああ、彼か。遅くなるから救急車が来たときに帰らせたけど、付き添いたいとずっと言っていたよ。落ち着いたら連絡してあげなさい」
そういうお父さんの声は、穏やかだった。
そっか。もしかしたら近くにいてくれるかもと思ったけど、健斗も高校生。あまり遅くまで引き留めるわけにもいかないものね。
ああ、とにかく体がだるい。熱が出ているようで、関節が痛い。
お父さんとぽつりぽつりと話しながら、いつの間にか眠りに落ちていった。
翌日内視鏡検査を受けた結果、私のクローン病は見事に再発、しかも症状が重くなっていると診断されたのだった。