それを愛だというのなら
「なにこれ」
「実は、死神にも集める魂のノルマがある。死んだ人間を多く順調に天に連れていったものにポイントが付く」
「自分で死にそうな人を見つけて、連れていかなきゃいけないの?」
なんだか、保険の勧誘みたい。
決められた人を連れていくんじゃないんだ。
あの世へのお迎えって、どの死神が来るかわからないのね。
「そうだ。そこで、私の今期の成績は非常に良くない」
「落ちこぼれなの」
「うるさい。とにかく、お前を健康体にしてやる。だから一か月後には、その魂をよこせ。他の死神についていかないという契約をしろ」
なるほど。魂を集めるため、交換条件に応じろというわけ。
「いいよ」
私はボールペンのキャップを口で咥えてはずした。
ボードに挟まれた契約書の一番下に、署名欄がある。
そこに名前を書こうとし、一瞬躊躇した。
私が死んで悲しむお母さんやお父さんの顔が脳裏に浮かんだからだ。