それを愛だというのなら


顔じゅうに、嫌な汗がにじむ。

分厚いレンズの重いメガネが、少しずつ下がってくる。

とっくに午後の授業のチャイムが鳴ったけど、しばらく立ち上がることができない。

やっと歩けそうだと思って立ち上がって振り返り、ぞっとした。

便器の中が、赤く染まっていたからだ。


「あーあ……」


久しぶりの下血。ポーチの中にあった生理用ナプキンでさっと手当てして、水を流して個室を出る。


「いたたた……痛いってば……」


誰に言うわけでもなく、よろよろと壁をつたい、教室をスルーする。

こりゃあ医務室行きだわ。


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