それを愛だというのなら
「私にかまってばかりいないで、仕事したら?」
「バカ者。もちろんそうしている。今日はこの前お前が入院した総合病院から二人、魂を上に連れていった」
そうか。総合病院なら、病気や怪我をした人がたくさんいるものね。
「しかし病院は死神が集まるからな。魂の争奪戦だ」
死神くんは手を組んだままぶつぶつ言う。
私は頭の中で、ぼんやりと違うことを考えていた。
あの病院だけで、今日亡くなった人が二人。
別の死神に連れていかれちゃったひともいるかもしれない。
そう思うと、人口がさほど多くないこの街で、人が死ぬなんていうのは、まったく珍しいことじゃないと思える。
ただ生きているだけで、すごくラッキーなのかも。
「まあ頑張って。私も頑張るから」
「ああ。じゃあ、忠告はしたからな。くれぐれも、死ぬのが辛くなるような恋をするんじゃないぞ」
死神くんはそう言い、ふわりと姿を消した。
そんなの、言われなくたってわかってる。
私だって、辛い思いなんてしたくない。
ただ、死ぬ前に素敵な思い出を作りたいだけ。
きっと……大丈夫だよ。